US事業の数字を見る時間が月に30分しかないとします。
その30分で見ているのが売上とROAS(Return on Ad Spend、広告費に対する売上の倍率)と売上総利益率(Gross margin)なら、見る数字を入れ替えてください。どれも日本から仕入れてUSで売る事業の利益を表していません。
- 売上は、いくら残ったかを教えてくれません。
- 広告媒体のROASは、媒体ごとに足すと店舗の売上を超えることがあります。第2弾で書いたとおりです。
- Shopifyの売上総利益率には国際運賃も関税も3PL(3rd Party Logistics、物流委託先)の費用も入っていません。
月に一度だけ見るなら、この3つです。
1. 残った金額
貢献利益 CM2(Contribution Margin 2、広告費を引いた後)の金額です。売上から商品を届けて売るまでにかかった費用を、広告費まですべて引いた残りです。率ではなく金額で見ます。
見るのはこの金額がUS法人の固定費を超えているかどうかです。固定費は人件費やオフィス、システム、代理店の月額報酬など。月1万5,000ドルなら、CM2が1万5,000ドルを下回った月はUS事業として赤字です。
売上が伸びていてもCM2が固定費に届いていなければ、伸びた分だけ赤字が大きくなっていることがあります。
2. 損益分岐を下回った広告費
その月の広告費のうち損益分岐ROASを下回る商品に使われた金額です。
損益分岐ROASはその商品の広告で赤字にならない最低のROASです。SKU(Stock Keeping Unit、在庫管理上の最小単位)ごとに着地原価が違うため、損益分岐も商品ごとに違います。計算の中身は第1弾で書きました。
広告費3万ドルのうち6,000ドルが損益分岐を下回る商品に使われていたなら、その6,000ドルは売上を作りながら現金を減らしています。代理店の報告でROASが良く見えていても起きることです。
見るのはこの金額が意図したものかどうかです。新商品の立ち上げのように赤字を承知で回す分は、先に金額を決めておく。それ以外がゼロに近ければ問題ありません。
3. 前月比の内訳
CM2が前月から動いた理由を要因ごとに分けた表です。
| 要因 | CM2 |
|---|---|
| 前月 | $21,000 |
| 為替(売れたロットの仕入日レート) | −$1,100 |
| 関税(輸入した時期による税率の違い) | −$300 |
| 運営(広告、値引き、物流) | −$400 |
| 当月 | $19,200 |
見るのは「運営」の行です。為替と関税は自社では動かせません。1,800ドルの減少のうち、自社の判断で動いたのは400ドルです。
為替が追い風で利益が伸びた月も同じです。伸びた分が為替なら、それは実力ではありません。分け方は第6弾、関税の扱いは第8弾にまとめています。
この表は合計が合っている必要があります。内訳を足して当月の数字にならないなら、どこかの原価が間違っています。
3つとも、Shopifyにも代理店の報告にもない
この3つが月次の報告に載っていないのには理由があります。
1つ目は仕入のインボイスと通関書類、3PLの請求書、決済の明細、広告費をつながないと出ません。2つ目にはSKUごとの着地原価が要ります。3つ目には売れたロットごとの仕入日のレートと関税率が要ります。
どれも1つのシステムの中にはありません。だから多くのUS法人では担当者が月末に表計算で組み、翌月の中旬に概算が出てきます。見るのは月に一度でも、出すのは毎月の作業です。
続けるための仕組み
craft8 はShopifyと広告媒体をつなぎ、ロットごとの着地原価でSKUごとの貢献利益を出します。CM2の金額、SKUごとの損益分岐ROASと実際のROAS、前月比の内訳。この3つが月初にそろいます。
見る側に必要なのは、月に一度の30分だけです。
いま見ている数字をこの3つにどう置き換えるか。このあたりで迷ったら、Xまでご連絡ください。
X:https://x.com/craft8io