3PL / 保管料

保管料の割り方で、次に発注する商品が変わります

2026年9月30日

3PL(3rd Party Logistics、物流委託先)の請求書は月に一度まとめて届きます。ピック/パック、入庫作業費、保管料、配送料。これをSKU(Stock Keeping Unit、在庫管理上の最小単位)ごとに割り戻さないと商品ごとの貢献利益は出ません。

割り戻すときに多く使われるのが出荷個数です。手元にあってSKUごとに正確に出るデータだからです。

ピック/パックならそれで正しい。出荷1件ごと、1個ごとに発生する費用だからです。

問題は保管料です。

保管料は「置いてある在庫」にかかる

保管料は売れた在庫ではなく、置いてある在庫に対して発生します。

売れずに棚を占めている商品ほど多く払うべき費用を、売れた数で割るとどうなるか。かさばって回転の遅い商品の負担が軽くなり、その分を小さくてよく売れる商品が肩代わりします。

合計は変わりません。変わるのはどの商品が払っているかです。

同じ4,900ドルを2通りで割る

ある月の3PLの保管料が4,900ドルだったとします。商品は3つです。

商品A 商品B 商品C
当月の出荷個数 736 700 478
平均在庫数 1,953 900 600
1個あたりの容積(立方フィート) 0.35 0.08 0.10
在庫回転日数 80日 39日 38日

商品Aはかさばって回転が遅く、BとCは小さくて回転が速い。多くのカタログにある組み合わせです。

これを出荷個数で割る場合と容積×在庫日数で割る場合で比べます。容積×在庫日数は、その月に倉庫の空間をどれだけ使ったかを表す数字です。

出荷個数で按分 容積×在庫日数で按分 差
商品A $1,884 $4,107 +$2,223
商品B $1,792 $433 −$1,359
商品C $1,224 $360 −$863
合計 $4,900 $4,900

商品Aの差は2,223ドル。出荷1個あたり3.02ドル、商品Aの純売上高(Net sales)42,600ドルに対して5.2ポイントです。

遅い商品の保管料を、速い商品が払っている

表の下半分を見てください。

出荷個数で割ると商品Bは保管料を1,359ドル、商品Cは863ドル多く背負います。純売上高に対してそれぞれ5.1ポイントと5.6ポイント。よく売れている商品ほど、実際より利益が薄く見えています。

これが発注の判断に効いてきます。

商品Aを追加で仕入れれば倉庫の空間はさらに埋まり、保管料の請求額は上がります。ところが出荷個数で按分していると、増えた分の多くはBとCに付け替えられます。Aを買い増すほど、Aではなく売れている商品の利益が削られて見える。Aの仕入を止めるべきだというシグナルが、A自身の数字に出てきません。

商品ごとの利益率が近いカタログでは、利益の順位そのものが入れ替わることもあります。

広告の損益分岐点が6.53から9.91に変わる

商品Aの貢献利益 CM1(Contribution Margin 1、広告費を引く前)と、損益分岐ROAS(Return on Ad Spend、広告費に対する売上の倍率)で見るとこうなります。損益分岐ROASはCM1 対純売上高比の逆数です。

按分の方法 貢献利益 CM1 対純売上高比 損益分岐ROAS
出荷個数 $6,523 15.3% 6.53
容積×在庫日数 $4,300 10.1% 9.91

実際のROASが7から9の間で回っていれば、出荷個数の按分では黒字に見えて、実際には赤字です。広告を増やすかどうかの判断が、保管料の割り方ひとつで逆になります。

容積×在庫日数の出し方

必要なのは3つです。

容積×在庫日数 = 1個あたりの容積 × 平均在庫数 × 日数

SKUの保管料 = 保管料の請求額
       × (そのSKUの容積×在庫日数 ÷ 全SKUの合計)

1個あたりの容積は、倉庫で保管されている状態の寸法で取ります。マスターカートンのまま棚に置かれているなら、カートンの容積を入数で割ります。個装の寸法で計算すると実際より小さく出ます。一度登録すれば商品が変わらない限り使い続けられます。

平均在庫数は3PLの在庫レポートの日次在庫数から出します。

日数は請求期間の日数です。

按分しないほうがいい部分

保管料のうち固定契約分や最低請求額は、荷量が減っても変わりません。これを貢献利益に入れると出荷の少ない月ほど、1個あたりの費用が膨らんで見えます。

貢献利益に入れるのは、荷量に比例する部分だけにするのが本来の考え方です。固定部分は事業全体の固定費として別に扱います。

続けるための仕組み

難しいのはこれを毎月続けることです。

寸法を登録し、在庫数を取り、請求書の保管料を割り戻す。ピック/パックは出荷実績で、入庫作業費は該当するロットに直接つける。明細の種類ごとに配分の根拠を変える必要があり、SKUが増えるほど作業も増えます。

craft8 は保管料を容積×在庫日数で按分します。SKUの寸法を初期設定で一度登録すれば、あとは3PLの請求書の金額を入力画面で確定するだけです。ピック/パックは出荷実績、入庫作業費はロットに直接つけます。按分した金額は、画面上で実測値と区別して表示します。

費目ごとの按分の考え方は、計算方法のページにまとめています。

craft8.io/method


寸法の取り方、在庫レポートの読み方。このあたりで手が止まったら、Xまでご連絡ください。

X:https://x.com/craft8io

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